プロジェクト管理ツール「backlog」の使い方について紹介していきます。「タスク管理ツールでは十分に全体の把握ができない」、エクセルやチャットツールでは機能が不足する」という方も少なくないでしょう。
会計や事務作業では、仕様が同じで毎年同じことをするのに、毎回別々のフォーマットや管理ツールでベースを作ってから開始するなど効率の悪い業務があります。
そこで今回は、backlogの簡単な仕様やメリット、おすすめの使い方などをまとめて説明します。
backlog(バックログ)とは?
backlogは、業務上のプロジェクトを管理することができるツールです。
プロジェクト管理ツールとは、タスク管理ツールの一種で、個人目的で利用するよりも多人数を前提に使用することを目的に作られた仕事仕様のツールのことです。
直近では、コロナの影響で増えたテレワークの活用や業務方針のシフトなどにも柔軟に対応できるなどの利点があります。
backlogの基本情報として、福岡県にある株式会社ヌーラボ(Nulab inc.)が提供し、商用利用を2006年に開始。2018年には利用者100万人を超え話題となり、2020年には180万人を突破しています。
少数メンバーなら低料金で使えることや、視覚的で直感操作に長けたツールのため、いまも人気のツールとして幅広い業務に利用されています。
backlogの概要や特徴
ここからは、プロジェクト管理ツールとしてbacklogの概要や特徴について紹介します。
バックオフィス業務に便利
プロジェクト管理ツール「backlog」の最大の特徴は、大規模チームや業務の異なる複数のチームにタスクを振り、まとめて管理できることでしょう。
特に雛形やベースをあらかじめ作成しておけば、毎年似たような業務に対応できます。周期が一定の業務が工数などで管理する会計や保険、ITなどバックオフィス業務の仕事分野に最適のツールです。
ガントチャートを導入可能
他のタスク管理ツールの中には、機能が少なくてプロジェクトやタスク単位で業務を監督はできても全体を把握するのが難しいケースが多々あります。
そこで、backlogのガントチャートを使用することにより、担当者ごとに業務・作業の状況や期限日などを一度に全て確認できます。
主に1案件では終わらない業務の多い、ワークフローマネジメント管理やBPM(Business Process Management=各作業工程)の視覚化に向いているツールといえるでしょう。
少人数のチームから企業の大規模チームまで対応
backlogの原則は無料版よりも有料利用で、その料金体系は少人数のチームから企業の大規模チームまで幅広く対応しています。
例としては、30人まで利用可能な個人向けの「スタータープラン」(月額2400円)や人数無制限の「プラチナプラン」(月額50,000円)などです。
backlogの使い方や活用法
backlogの概要を把握したら、今度は使い方や活用法の主なポイントを説明します。
ツール使用に必要な用語を理解する
まず、backlogツールを使う上では特定の用語を使用することになります。それが、基本解説にもある「スペース」、「プロジェクト」、「課題」、「状態」の4つの用語です。
スペース
会社・企業などの共同利用をする際に、「スペース」にメンバーを招待したりするところです。
プロジェクト
複数のメンバーで1つの案件を管理する際に、立ち上げるのが「プロジェクト」です。
プロジェクトチームと呼ばれるように、同じ企業内でも複数のプロジェクトが存在し、それらを区別するためにプロジェクト名が付けられます。
その点は、一般的な「プロジェクト」と管理ツールとしての「プロジェクト」はほぼ同じです。スペースを設定した後は、この「プロジェクト」を立ち上げます。
課題
マネジメント・タスク管理でいうところのタスクを設定することをbacklogでは「課題」を作成することとしています。
課題という名前をタスクに統一していないのは、タスク以外にも「要望」などがあるためで、まとめて課題としてカテゴリ分けしているのが理由です。
決算作業があったとして、ツール内ではその名称を「タスク」ではなく「課題」と扱うだけで、ツール内表示などは「タスク」ときちんと表示されます。
状態
backlogで課題を追加すると、「未対応」という状態で作業が決定します。まだ作業が何もされていない状態で、最初の「未対応」になっているのです。
他に、「処理中」「処理済み」「完了」などがあり、上記の項目も一般的なタスクで使用される用語とだいたい同じ意味です。
「処理中」は作業中、「処理済み」は担当者による作業の終了、「完了」は検収の完了です。
プロジェクトにソースコードを共有・評価する機能あり
backlogには、リポジトリ機能としてSubversionの使用や「Git」などのソースコード管理に適した環境が用意されています。
ソースコードを相互レビューする機能やバグ管理、開発用のソース管理ができるのです。「プロジェクト」と紐付けすることにより、ソースコードを共有・評価しやすくしています。
SubversionやGitはbacklogを初めて使うとき、設定しないとリポジトリ機能を使用することができません。
ソースコードのリポジトリ作成のために、まずはプロジェクトの作成時か、「プロジェクト設定」で、「Subversion」・「Git」の設定から変更しましょう。
「Subversion」の場合、設定一覧にある「Subversion」を選択して画面変更し、「Backlogのサーバ上にリポジトリを作成し使用する」あるいは、「外部リポジトリを使用する (スタンダードプラン以上)」に変更します。
「Git」の場合は「リポジトリを追加する」からリポジトリ名やURLの入力・設定などをしましょう。
タスク管理ツールとして使える
全体を共有することに優れたbacklogですが、下位互換としてタスク管理ツールとしても使用できます。
「課題」をタスクに設定し、担当者を自分にすれば、ToDOなどのタスク管理ツールとして使用可能です。
『「スペース」>「プロジェクト」>「課題」>実際の作業>「課題」>実際の作業…(繰り返し)』という手順。
「課題の追加」から課題(タスク)と作業内容を決めてあげれば、タスク管理ツールとして十分に機能を発揮します。
メンバー間で情報共有する機能が使える
リポジトリ機能のようなソースコード共有に優れた機能以外にも、プロジェクトチームやメンバー間で情報共有する機能を活用した使い方ができます。
例えば、「いいね」機能やアイコン、メール送信機能。Wikiを使用することで、全体の情報共有も簡単にできます。
backlogの「いいね」機能は「スター」のことで、課題のところから星型マークを連打すれば、押した回数だけ星で評価して「いいね」できます。お知らせやコメントなどはアイコンを通して新着を知ることができるでしょう。
メールの受信設定からメールを受け取る項目(「マイレポート」や課題の「完了」など)を決めておけば必要なbacklogでの課題のメールを通知代わりに使用することも。
Wikiではプロジェクトのまとめを残しておくことが出来るため、メンバーで編集して情報共有できます。
あとで他のメッセージややり取りを見直しても情報がすぐに見つからずに困るケースなどで効率的に情報をまとめられるのです。
プロジェクト進捗状況や期限を確認
年月日ごとのプロジェクト管理や各プロジェクトの進行状況、作業の期限を一覧にして示す使い方ができるのもbacklogの良いところでしょう。
ガントチャートのところでも説明したように、横にスライドするタスクの確認が可能です。
横にカレンダーが並んで、その下に課題の作業項目が表示されるため、期限がいつの作業で、対応状況が色別で把握できるようになっています。
右上のタグを「未対応」や「処理済み」などでカーソルすれば、「未対応」の課題だけをガントチャートに表示することができます。
カラーの部分をタップすれば、課題の詳細を開けて、編集できる仕組みです。作業する側も管理する側も容易に課題を把握できて、対応や状況を変更するのに便利です。
タスクを細かく分割する使い方
作業は術tえ横並びに作成するのではなく、親課題・子課題のような作業細分化をすることもbacklogでは可能です。
ただし、利用するには、プロジェクトの基本設定で「利用する属性・機能」の題目(中盤の段落)にある「親子課題を使用する」にチェックを入れておく必要があります。使う予定の際は立ち上げ時に設定しておきましょう。基本は使わない設定です。
実際に追加する際は、「課題の追加」から左上の「親課題を設定する」を選択して、「子課題」を設定するための親課題タイトルを指定します。
以上、ポイントとなる手法を駆使して、上手くbacklogを使いこなしましょう。
backlogを利用するメリット
プロジェクト管理にbacklogを利用するメリットについてここでは紹介します。
メリット1.ソフトウェア開発やシステム管理に適している
ソフトフェア開発には欠かせない事前の要件定義や仕様などを確認するために使われます。
「ソースコードレビュー」ではソースを全体で確認できるうえに、「プルリクエスト」はコメントを表示することも可能です。
コミット履歴を使用することでさらに詳しく確認できます。
メリット2.チャートなどの機能性が高い
ガントチャートを使い、横一列に並んだタスクと、その日程や期限付きで作業する人や管理する人がいつでも見られることでしょう。
作業を個別に管理はできてもいままで難しかった全体の管理を容易にします。
メリット3.チームコミュニケーションを円滑に行える
UIにこだわり過ぎないシンプルな機能にコメントや評価などのコミュニケーションツールが充実しているため、backlogのメリットの1つはチームの連携が取りやすいことです。
課題・タスクはあくまでも作業分担のため、完了作業までは機械的ですが、コメントや評価、通知機能などで上司と部下、管理者と作業者の関係ではなく、チームとしてのコミュニケーションが充実します。
報・連・相でメールやチャットを使用すると時間の無駄になることもbacklogで一体化し効率的に行えるでしょう。
メリット4.プロジェクトの遅れを迅速に把握できる
backlogは、担当者ごとの確認でなく、期限にあわせた横の確認が得意なため、作業が遅れていれば即座に対策できます。
そのため、バッファをもたせた作業の進行が大きなメリットです。
backlogのデメリット
メリットだけでなく、backlogにはデメリットもあるので紹介しましょう。
デメリット1.無償で使えるトライアル用のプランは機能制限が付く
1つ目のデメリットとして、無料プランには機能制限が付くことです。ガントチャートは無料版では利用できないため、利用したい場合は必ず有料版に申し込みます。
また、10人まで利用できる無料プラン「フリ・フリークラシックプラン」は、後で有料に変更できても、有料プランを後から無料プランに変更できない不可逆なシステムを採用していることです。
例えば、「スタータープラン」を契約した後に「フリ・フリークラシックプラン」にはできません。無料利用から始めたい人は、右下の「フリープランはこちら」から無料プランを別に申し込む必要があります。
最初からある程度の人数で使うことが分かっている場合は、通常通り、30日無料の有料プランを利用するのがオーソドックスな使い方でしょう。
有料プランの良いところは、制限されていた企業向けの機能などが解放されることです。
デメリット2.画面で機能を使いこなすには慣れが必要
backlogは、ソースコードの管理やWiki、コメント機能などある程度使いこなせるようになるまで慣れが必要です。
特に課題の設定項目や完了後の通知など、覚えてしまえば難しくありませんが、全体で動くプロジェクトの場合にはリポジトリ機能など複雑な機能を使用することもあるので注意しましょう。
まとめ
Backlogの使い方を通して、概要やメリット・デメリットなどについて紹介しました。
プロジェクトという大きな枠組みの中でいかにタスクを管理して実施するかが問われる中で、効率的に業務を行い、コミュニケーションツールとしても優れた機能を有しているのがbacklogです。
タスクの把握や管理に必要以上の手間と労力を掛けて非効率化している企業やチームに導入して、コストパフォーマンスの高い効果的なプロジェクト管理をしてみましょう。